原状回復の負担割合について

2019/02/12 現状回復の基礎知識 現状回復の基礎知識 現状回復の基礎知識

原状回復に対する考え方は、不動産会社や大家さんによって異なって来ます。しかし国土交通省が定めたガイドラインに、参考にすべき指針が挙げられています。
これを知っているならば、原状回復の負担割合についての相場を理解する事が出来るでしょう。では具体的な賃貸人と賃借人の負担割合等に注目してみましょう。

■経年劣化と減価償却に基づき負担額を考える

経年劣化・減価償却とは?

原状回復を行う際、負担額を決定する鍵となるのは経年劣化と減価償却の概念です。当然の事として、物は年数が経過すれば価値が下がります。
例えば最新のiPhoneを5万円で購入したとします。購入した5日後にすぐ売るなら、5万円に近い値段で売れる事でしょう。しかし5年間使用した後に売ると、5万円には遠く及ばない値段となります。

賃貸でも同じことが言える

同様に賃貸家屋の価値も、使用した年数によって変化してゆきます。例えば入居時にクロスが新品であったとしても、退去時にクロスを新品の価格で原状回復する必要はありません。
なぜならクロスは使用するにつれて価値が下がるからです。そして入居時に賃貸家屋の全ての設備が新品であるとは限りません。その場合、既に使用済みの年数を計算して現在の価値が算定されるようになっています。

■賃借人負担額は計算によって算定出来る

では実際にどのように負担額を算定するのか具体例を見てみましょう。
〈例1〉

クロスの場合、6年が経過すると残存価値が1円になります。この6年を耐用年数と言います。
そして残存価値割合を「1-(居住月数÷耐用月数)」で算定します。例えば新品の賃貸家屋に3年居住した場合、クロスの残存価値割合は1-(36÷72)=0.5となります。
加えて賃借人負担額を修復費用×残存価値割合で算定します。もしクロス交換額が10万円の場合、10万円×0.5で賃借人負担額は5万円となるのです。

また、居住年数が長いと状況は異なって来ます。
〈例2〉

例えば8年居住していた場合、クロスの残存価値割合は1-(96÷72)で算定し-0.333となります。つまり耐用年数を超えている為残存価値は無く、賃借人負担額は1円になるのです。

修復範囲も要チェック

加えて、修復の範囲も重要です。ガイドラインでは「㎡単位が望ましいが…1面分までは賃借人負担としてもやむをえない」となっています。原則として賃借人が負担する範囲は、修復に必要な最小の施工単位です。
しかしクロス等を㎡単位だけで張り替えると、色の差等が生じ賃貸家屋に影響が生じます。従って損耗箇所を含む全面が、賃借人が負担すべき修復範囲となるケースもあるのです。

■まとめ

原状回復は、経年劣化と減価償却に基づき現在価値を算定し、賃借人負担額を計算します。まず残存価値割合を算定し、その比率と修復費用に基づき賃借人負担額が決定されるのです。
賃借人は入居期間が長ければ長いほど、原状回復負担金が少なくなります。もちろんそれぞれの状況により細かな点は異なって来ます。しかし上記の内容を理解しておくなら、よりスムーズに原状回復に対処出来る事でしょう。

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